コピー機(複合機)の「トナー」と「カートリッジ」の違い、知ってる?

仕事でコピー機を使っていると、「トナー」という言葉はよく聞きますよね。このトナーは、皆さまがお使いのコピー機や複合機を使用する上で、必要不可欠な「ミクロの粉」です。

インクジェットプリンターの「インク」と同じ役割を果たしており、いわゆる消耗品です。印刷すればするほど、このトナー残量が少なくなっていき、無くなるとエラーが出て印刷ができなくなりますよね。

さらに、「カートリッジ」という言葉も頻繁にコピー機では使われますが、トナーとどのような関係性があるかご存知ですか?ということで、ここからはそもそもコピー機・複合機のトナーとは何なのか?また、「カートリッジ」との関係性についてご説明いたします。

1.そもそもコピー機の「トナー」とは何なのか?

そもそも「トナー」とは、レーザープリンターやコピー機・複合機で使用され、絵や文字を用紙上に再現するための「粉」のこと指し、インクジェットのインクと同じ役割をしています。そのトナーは以下の3つの成分から構成されています。

➀高分子樹脂(プラスチック)

レーザープリンターやコピー機・複合機では、印刷するときにトナーに熱を加えて用紙に定着させているため、熱を加えることで溶ける性質を持った高分子樹脂がトナーの原料になっています。

➁ワックス

ローラーにトナーがくっついてしまわないよう、ワックスが含まれています。

➂顔料

トナーに色をつけるために、黒の顔料が含まれています。

ちなみに、トナーの一粒はシイタケの胞子の大きさとほぼ同じ1000分の5ミリ程度と非常に小さく、肉眼では見ることはできないでしょう。

トナー一粒の中に、こんなにたくさんの成分が入っているんですね! ちなみに、「ニッサンエレクトール」は印刷特性を向上させるために日油株式会社が開発したトナー用ワックスなんだそう。

トナー一粒の中に、こんなにたくさんの成分が入っているんですね! ちなみに、「ニッサンエレクトール」は印刷特性を向上させるために日油株式会社が開発したトナー用ワックスなんだそう。

出典:日油

トナー誕生秘話と語源とは?

現在、広く使われている普通紙コピー機の原理は1938年に米国人のチェスター・カールソン氏が発明したものです。もともとは、特許申請の書類を作成する仕事をしており、書類を何枚も書く作業を簡略化したいという発想から生み出したとされ、当時から液状のインクではなく「トナー」と呼ばれる粉状のインクを使っていたそうです。

その「トナー」の原理は、レーザービームなどを照射して肉眼では見えない「電子の像」を感光体につくり、それにトナーを付着させることで目に見える像にして紙に定着させるのがコピー機の原理です。
インクが粉だったのは、感光体に付着させるのに静電気を利用するため、液体インクよりも帯電しやすい粉状が便利だったからだそうです。

この見えない電子の像を具現化する工程をコピー機業界では【toning(トーニング)】と言い、これが変化して【toner(トナー)】になったことが語源とされています。

チェスター・F・カールソン氏は独学で現在のコピー機の元となる原理を発明した偉人。彼は20社以上の企業に研究支援を依頼しましたが、ことごとく断られたそう。最終的に彼の研究を受け入れ、コピー機業界において大成功をおさめたのがゼロックス。依頼を断った企業のひとつであるIBMの2代目社長、トーマス・J・ワトソン・ジュニアは、のちに「カールソンからの依頼は逃してしまった一番大きな魚」と語ったのだとか。

チェスター・F・カールソン氏は独学で現在のコピー機の元となる原理を発明した偉人。彼は20社以上の企業に研究支援を依頼しましたが、ことごとく断られたそう。最終的に彼の研究を受け入れ、コピー機業界において大成功をおさめたのがゼロックス。依頼を断った企業のひとつであるIBMの2代目社長、トーマス・J・ワトソン・ジュニアは、のちに「カールソンからの依頼は逃してしまった一番大きな魚」と語ったのだとか。

トナーの色の種類

ひと昔前はカラーのコピー機がほとんどなかったことからトナーは黒一色でしたが、現在ではカラーコピー機・複合機が主流となり、トナーの色は、
・ブラック
・シアン(青)
・マゼンタ(赤紫)
・イエロー
と、4色搭載する仕様になっているので、色の組み合わせで彩り豊かなカラー印刷できるのです。

トナーで印刷を行う工程とは?

➀「帯電」
プリンターやコピー機の感光ドラム表面全体に均一に静電気を帯びさせます。

➁「露光」
レーザー光やLEDで印刷データのパターンを帯電した感光ドラムに画像を描きます。レーザー光の照射部分は静電気がなくなります。

➂「現像」
トナーが感光ドラムに近づくと、静電気のない部分にだけトナーが付着します。

➃「転写」
感光ドラム表面に用紙を密着させ、用紙裏側からプラス電荷をかけることにより、感光ドラム上のトナーを用紙に移します。

➄「定着」
トナーが転写された用紙に熱と圧力を加える方式や光を当てて融着させる方式で、トナーを用紙に定着させます。

以上の様な一連の流れで、コピーや印刷ができるのです。
液体インクよりも帯電しやすい粉がトナーには向いていることが理解できますね。

よくこんなことを思いつきますよね…。カールソンさんに「あっぱれ」をあげたい!

よくこんなことを思いつきますよね…。カールソンさんに「あっぱれ」をあげたい!

出典:テクノマート

2.「トナー」と「カートリッジ」は違う? 同じ?

トナーとは何かご理解していただいたところで、「カートリッジ」という単語もよく聞くかと思いますが、別の物として捉えている方もいらっしゃいます。

トナーは、先程も説明した通り、1000分の5ミリ程度と非常に小さくいため、トナーは通常、「カートリッジ」と呼ばれる専用の容器に詰められた状態のものを、プリンターやコピー機・複合機に挿入して使用されます。
その専用の容器が「トナーカートリッジ」と呼ばれ、他の製品にも様々なカートリッジはありますが、コピー業界では「カートリッジ」と言えば「トナーカートリッジ」を指しています。

また、カートリッジに詰められたトナーは、普通にしていれば飛散することはないのですが、トナーカートリッジを床などに落として破損させて、大量のトナーが床などに飛散することがあります。トナーは粒子が小さいので塵やホコリのように、ちょっとした風などで飛び散りやすくなります。

基本的にトナーは、有害物質ではないものの、粒子が小さいことから吸い込んでしまうと気管支に入り込んでしまうことがあります。
さらに、空気中に飛散したトナーになんらかの原因で引火すると粉塵爆発を起こす可能性もありますので、取り扱いには注意が必要です。

おそるべし…。コピー機は丁寧に使うようにしましょう。(ツイッターより)

おそるべし…。コピー機は丁寧に使うようにしましょう。(ツイッターより)

3.これだけは知っておきたい「トナー」の種類

トナーは、基本的に消耗品であり、残量がなくなったときや、トナーが劣化して印刷品質が悪くなった場合に、トナーカートリッジごと交換する必要があります。

その交換するトナーには大きく分けると、
➀メーカーから提供される 「純正トナー」
➁純正トナー以外のトナー 「非純正トナー」
と、2つの種類があります。

➀「純正トナー」

メーカー指定のトナーなので品質は安定しているおり、何らかの原因で故障した時は、メーカーの保証が適用されます。しかし、価格面では最も高いトナーとなります。

また、純正トナーには「輸入純正トナー」というものがあり、国内と海外では、機器のメンテナンス体制・文化、流通ルート、為替の関係等で、国内純正トナーよりも同じ製品が安く入手できるケースがあります。

➁「非純正トナー」

純正トナーに比べて価格は安くなめものの、品質が安定しなかったり、故障した場合に保証の対象にならなかったりするリスクがあります。

また、被純正トナーには以下の2種類があります。
・「汎用トナー」
複数の種類のプリンターに使えるようにするためにブランド名やメーカー名を付けていないトナー。

・「リサイクルトナー」
使用済みトナーカートリッジを分解清掃後、新品同様によみがえらせたトナー。

以上のように、一口にトナーと言っても様々な種類がありますので、覚えておきたいですね。

価格.comではこのような特集記事を掲載していました。価格(コスト)と品質を天秤にかけるというのはなんとも悩ましい問題ですね…。

価格.comではこのような特集記事を掲載していました。価格(コスト)と品質を天秤にかけるというのはなんとも悩ましい問題ですね…。

出典:価格.com

4.まとめ

トナーやトナーカートリッジの説明でしたが、普段から何気なく使っているコピー機や複合機は、トナーが無ければ使用できません。トナーは消耗品なので、コピー機や複合機を導入した際には、保守契約を結んでいれば、トナー交換も契約に入っていることがほとんどです。

コピー機(複合機)の「トナー」と「カートリッジ」の違い、知ってる?

コピー機は、レーザービームなどを照射して肉眼では見えない「電子の像」を感光体につくり、それにトナーを付着させることで目に見える像にして紙に定着させている機械です。ここでは、トナーとはどんなもので、一般的にトナーカートリッジが流通していることをご理解していただければと思います。