皆さまが毎日の業務で度々使っているレーザーコピー機や複合機は、「トナー」が無ければ印刷・コピーができません。基本的には、「カートリッジ」という専用の容器にトナーを入れた「トナーカートリッジ」をコピー機・複合機のトナー挿入部分に挿入して使用されます。

そのトナーは、イングジェットコピー機の「インク」の役割を果たしており、インクは液体ですが、トナーは「粉」です。基本的にトナーは、トナーカートリッジに入れられた状態で使用するので、トナーに実際に触れることはないと思います。

トナー1本で何枚印刷できる?コピー機(複合機)トナーの寿命と成分

なので、トナーがどのような成分で作られているのか謎ではないでしょうか?また、トナーは印刷すればするほど残量が無くなり、替えのトナーカートリッジと交換することになりますが、トナー1本で何枚の印刷ができるのか?といった、トナーに関して分からないことがありますよね。

そこで今回は、トナーはどのような成分で作られているのか?また、1本のトナーカートリッジで何枚程度コピーや印刷ができるのか寿命をご説明いたします。

1.コピー機の「トナー」の成分とは?

近年、一般のご家庭でもコピー機やプリンターを利用することも多くなり、より身近なものとなりました。家庭用では、大半は液体インクを使うインクジェットが主流です。ちなみに使われるインクの成分はご存知ですか?

トナーの前に、参考までに液体インクの成分をご紹介いたします。

・水 (ベース)
・着色剤
・浸透剤 (水溶性有機溶剤)
・乾燥防止剤
・pH調整剤
・防腐剤/防かび剤

詳しい説明は省きますが、以上の薬品が標準的に利用されています。

次に、本題のトナーの成分についてご説明すると、そもそもトナーとは、絵や文字を用紙に再現するための「粉」のことを言います。
その粉の粒子は、直径1000分の5~8ミリ程度と非常に小さいものです。ですが、現在の製造技術では±1000分の0.3~0.5mmの誤差で同じ大きさに揃えることができるとのこと。もともとは透明な樹脂を使いそれを粉にして、トナーにしていきます。

では、そんな小さな粒子のトナーの成分とは何なのか説明すると、トナーは大きく分けて
➀高分子樹脂
➁ワックス
➂顔料
という3つの成分からできています。詳しくは以下の通りとなります。

トナー1本で何枚印刷できる?コピー機(複合機)トナーの寿命と成分

出典:リコー(RICOH)

➀高分子樹脂

この高分子樹脂はプラスチックのことになり、トナー粒子の素となる材料です。樹脂はもともと粉状になっていませんが、樹脂を粉々にしていきミクロン単位の小さな粒子になっていきます。このように、目に見えない細かな粒子にすることで、トナーとして使えるようになります。

なぜ、プラスチック樹脂を使用しているのか?

それは、レーザーコピー機・複合機で印刷・コピーをするとき、トナーに熱を加えて用紙の上に定着させるため、熱を加えたら溶ける性質を持ったプラスチックの樹脂が使用されているのです。

②ワックス

コピー機・複合機の機能として、トナーはローラーによって圧着されます。その仕組みは、ローラーに熱を加え、その熱で用紙上にトナーを付着させ、熱とともに圧力を加えることで、用紙にトナーが定着してコピー・印刷ができます。
このように、ローラーで熱を加えて圧着させますが、一部のトナーがローラーに付着してしまうことがあり、それを防止するためにワックスが混ぜられているのです。

③顔料

トナーは、プラスチック樹脂の粒子だけでは紙には何も映し出されません。
そこで、着色に用いる粉末で水や油に不溶のものの総称である「顔料」という染料が含まれています。顔料は、色の元になる成分で、顔料によって絵具を使っているようにコピー・印刷ができます。

一般的なカラーレーザーコピー機や複合機は、
・ブラック
・シアン(青)
・マゼンタ(赤紫)
・イエロー
と、4色搭載する仕様になっているので、色の組み合わせで彩り豊かなカラー印刷できるのです。

インクの種類を知ることがコピー機(複合機)のインク選びの第一歩!でも書きましたが、印刷は3原色(C・M・Y)と黒色(K)の4色を基本としています。

インクの種類を知ることがコピー機(複合機)のインク選びの第一歩!でも書きましたが、印刷は3原色(C・M・Y)と黒色(K)の4色を基本としています。

トナーを取り扱う際の注意点

先程もご説明した通り、トナーは基本的に「トナーカートリッジ」として利用していますが、仮に、万一トナーカートリッジを床などに落として場合、破損させることがあります。その際、大量のトナー粒子が床などに散乱することがあります。

そのようなケースでは、ほうきで掃きとるか、石けん水で湿らせた布等でふき取ってください。掃除機を使うとフィルターを通り抜け、部屋中に飛び散る可能性がありますので注意が必要です。

基本が、ミクロの粒子なので、チリやホコリのように軽く、ちょっとした風などで飛び散りやすいものです。

メーカーから提供されているトナーは、有害物質ではないものとして提供されていますが、

■吸入した場合:新鮮な空気のある場所に移動する。症状が生じるならば、医師の手当てを受ける。
■皮膚に付着した場合:すぐに石鹸と大量の水で洗浄する。症状が生じるならば、医師の手当てを受ける。
■眼に入った場合:十分な量の水で洗い流す。症状が生じるならば、医師の手当てを受ける。
■飲み込んだ場合:口をすすぐ。コップ1、2杯の水を飲む。症状が生じるならば、医師の手当てを受ける。

出典:Canon(キヤノン)・安全データシート

というように、ミクロの粒子なので、吸い込んだ場合は念のために医師の診断を受けることをお薦めします。

トナーは非常に細かい粒子なので、カートリッジから出た場合は注意が必要です!

トナーは非常に細かい粒子なので、カートリッジから出た場合は注意が必要です!

2.コピー機の「トナー」1本で印刷できる枚数はどれくらい?

トナーの成分はご理解していただいたところで、トナーは基本的に「消耗品」として、なくなれば交換しますが、実際にコピーや印刷を何枚くらいできるのか気になりますよね。

トナーは決して安いものではありませんから、購入時に寿命を知っていることはきっと役に立ちますよ!

トナーは決して安いものではありませんから、購入時に寿命を知っていることはきっと役に立ちますよ!

その部分に関しては、メーカー発表によると典型的なA4のビジネス文書で、いわゆる印字される文字や表の部分がA4用紙の5%では、トナー1gで15枚程度、印刷・コピーができるとされています。

1本あたりに換算すると、約5,000~20,000枚が平均的な数値です。
しかし、日本人ならではの、勿体無いという精神が働くのか、何か印刷する場合、できるだけ用紙を無駄にしないよう、A4用紙いっぱいになるくらいに文字や表を詰め込みますよね。そのため、実際の寿命は、その70%程度と考えておくと良いでしょう。このようなことから、現在ではトナー消費を節約する機能を搭載したコピー機・複合機もあるようです。

先程も言った通り、印字する内容によって左右され、用紙の中に■(ベタ)の部分か多いと更に寿命は短くなります。
ちなみに、カラーコピー機や複合機で、一番消費しているのはもちろんブラック、あとはカラー印刷によって、シアン・マゼンタ・イエローといったカラー色も減っていきますよね。

3.まとめ

トナーは非常に細かい粒子なので、カートリッジから出た場合は注意が必要です!

今回は、コピー機のトナーの成分と寿命の話でしたが、特に寿命に関しては知っておいて損はないでしょう。

トナーは、基本的にトナーカートリッジに入れられているので、直接触れることはありませんが、万一カートリッジを壊してトナー粒子がこぼれてしまったら注意して片付けを行いましょう。マスクをして、ほうきや雑巾で抜き取るようにしましょうね。もし、吸い込んでしまったら念のために医師に診断してもらうと安心かと思います。